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ネパール西部で地震、157人死亡 15年以降最悪、家屋多数倒壊

米地質調査所(USGS)によると、ネパール西部で3日午後1145分(日本時間4日午前3時)ごろ、マグニチュード(M56の地震が起きた。

地元警察によると、少なくとも157人が死亡、170人が負傷した。現場では倒壊した家屋の下敷きになるなどした住民の救助活動が続いている。  ロイター通信によれば、ネパールで起きた地震被害としては、計約9000人が死亡した2015年の大地震以降最悪となった。  震源地は西部ジュムラ郡付近で、震源の深さは約18キロ。隣接するジャジャルコット郡が特に大きな被害を受けたもようだ。現地からの映像では、れんがや泥で造られた多くの建物が倒壊した。被災地一帯は丘陵地で、村や町が点在。地元の医療機関にはけが人が殺到した。  ジャジャルコット郡の当局者は時事通信の電話取材に対し、数十人の負傷者が救助を待っていると説明。「今すぐ医療物資や人員が必要だ。中央政府からの支援がなければ、できることは少ない」と語った。  ダハル首相は4日に被災地入り。病院で被災者を見舞い、「医師団を連れ、薬も持ってきたので治療に問題はない」と述べた。  発生当時、就寝中の住民も多くいたとみられ、被害が拡大した可能性がある。隣国インドでも揺れを観測した。

初登頂は日本人 荒れる8千メートル峰

山岳気象予報士 猪熊隆之の空の百名山〈マナスル(ネパール)〉

  マナスル(標高8163メートル)は、ネパールにある世界第8位の高峰です。8千メートル峰は世界に14座ありますが、その中で日本人が初登頂した唯一の山です。

 19565月に日本隊によって登頂されましたが、そのときの隊長は、スイスのアイガー東山稜(さんりょう)を初登攀(とうはん)したことで有名な槇有恒(ゆうこう)です。そのニュースは戦後間もない日本の人たちに大きな勇気を与え、一大登山ブームが起こりました。

 その初登攀から67年。私は日本の公募登山隊に参加して、気象予報をしながら登頂を目指しました。

 これまでにもマナスルの天気予報は国内外の登山隊に何度も発表していて、地形も頭の中に入っていましたが、頭で分かることと体で覚えることとは異なります。今回の登山で、頭で分かっていたことを体で理解することができ、また、これまで漠然としたイメージだったものを具体的な映像として自分の脳に刻むことができました。

 マナスルは、東西3千キロにわたって連なるヒマラヤ山脈のほぼ中央部、ネパール・ヒマラヤに位置します。

 ネパールは日本の奄美大島と同じぐらいの緯度にあるので、平地では亜熱帯の気候になりますが、標高に応じて気温が変わり、標高1300メートル付近のカトマンズでは温帯気候、標高4千メートル付近からは寒帯気候やツンドラ気候になり、標高6千メートル付近から上は万年雪の世界です。

 また、雨が多く降る雨期と、ほとんど雨が降らない乾期とがあります。雨期は69月、乾期は10月から翌年の5月にかけてです。

乾期になると、シベリア高気圧が強まって大陸からの冷たくて乾いた空気が入ってくるので、晴れの日が続きます。一方、雨期は、インド洋からの暖かく湿った空気が入るため、雨の日が多くなります。

 特に、インド洋からの湿った空気がヒマラヤ山脈にぶつかる山脈の南斜面では降水量が多くなります。マナスルはネパール・ヒマラヤの中でも天気が悪い山として知られていますが、これはネパール南部のタライ平野から直接そそり立っていることと、東西の二つの谷を通ってインド洋からの湿った空気が入りやすいからです。

 

 このような気候のため、登山やトレッキングに適したシーズンは、乾期で真冬を除く35月と1011月になります。

 

 ただし、標高の高い山では天気以上に風の影響を強く受けます。風は冬に強まり、夏には弱まる傾向にありますが、特に秋から冬にかけてジェット気流が強まって暴風の日が増えるので、8千メートル峰など標高の高い山では5月と9月に登頂を目指す人が圧倒的に多くなります。